中小企業がGoogle Workspaceを検討すると、「誰が管理するのか」「毎月いくらかかるのか」「今のメールは消えないか」という疑問が先に出てきます。この記事では、導入前によく聞かれる5つの疑問に、Googleの公開情報と公的調査の数字で答えます。
- IT担当者がいなくても管理できるか
- 毎月の費用はいくらか
- 今のメールやデータを移行できるか
- クラウドのセキュリティは大丈夫か
- パソコンが苦手な社員でも使えるか
疑問1:専任のIT担当者がいなくても管理できる?
管理できます。サーバーの保守・更新・障害対応はGoogleが行うため、社内に残るのは「人の出入り」と「ルール設定」の操作だけです。
社内に残る主な作業は次の5つで、すべてブラウザの「管理コンソール」で行います。
- 入社時:アカウント(メールアドレス)の作成
- 退職時:アカウントの停止や削除と、メール・ファイルの引き継ぎ
- パスワードを忘れた社員の再設定
- 2段階認証の必須化などのセキュリティ設定(導入時に1回)
- スマートフォン紛失時の会社データの消去(疑問4で触れます)
管理者は2人決めておくのがおすすめです。1人が休んだり退職したりしても、アカウント作成やパスワード再設定が止まりません。管理者自身がパスワードを忘れても、もう1人が再設定できます。
疑問2:毎月の費用はいくら?
1人あたり月800円(税抜)からです。2026年10月時点の中小企業向け3プランは次のとおりです。
| プラン | 年間プラン(1人・月額・税抜) | フレキシブルプラン(1人・月額・税抜) | ストレージ(1人あたり) | ビデオ会議の参加上限 |
|---|---|---|---|---|
| Business Starter | 800円 | 950円 | 30GB | 100人 |
| Business Standard | 1,600円 | 1,900円 | 2TB | 150人 |
| Business Plus | 2,500円 | 3,000円 | 5TB | 500人 |
出典:Google Workspace 料金ページ(2026年10月7日確認)。新規契約向けの期間限定割引を除いた通常料金です。
たとえば社員10人でBusiness Standardの年間プランなら、月16,000円・年192,000円(いずれも税抜)です。同じ10人をフレキシブルプランにすると月19,000円で、年間で36,000円高くなります。
年間プランは安い代わりに、契約期間中はユーザー数を減らせず、途中で解約しても残り期間分が請求されます。フレキシブルプランは月単位でユーザーの削除や解約ができます。導入直後で人数が固まっていないうちはフレキシブル、固まったら年間、という順番も選べます。
なお、2025年3月17日の料金改定で各プランは値上げされ(Business Starterは680円→800円)、生成AI「Gemini」の機能が標準で含まれるようになりました。古い比較記事の金額は当てにならないので、契約前に公式ページで最新の料金を確認してください。
疑問3:今のメールやデータは移行できる?
移行できます。Googleの「データ インポート」ツールは、レンタルサーバーなどのIMAP対応メール、Microsoft Exchange Online、Gmailからメールを取り込めます(移行サービスの一覧)。IMAPのメールは一度に最大100人分を取り込めるので(Google 管理者ヘルプ)、10〜30人規模の会社なら1回の作業で全員分を移せます。
ファイルは、OneDrive・SharePoint Online・Dropbox(100人以下)からGoogleドライブへ移すツールがあります。Outlookのデータ(PSTファイル)も、20人までなら「GWMMO」で取り込めます。社内のNASやパソコン内のファイルはこの一覧にないため、フォルダ単位でアップロードして移します。
切り替えの注意点は次の3つです。いずれの作業も弊社がサポートします。
- メールの配送先を決める「MXレコード」の変更は、反映まで最長72時間かかることがあります(Google 管理者ヘルプ)。その間は旧サーバーにもメールが届くため、旧サーバーは切り替え直後に解約しません。
- 切り替え後に旧サーバーへ届いたメールは、「差分インポート」で追加で取り込みます。
- パソコンのメールソフトをPOPで使っている場合、メールがサーバーに残っておらず、各自のパソコンにしかないことがあります。Outlookであれば、ツール利用でGmailへ取り込むことが可能です。


疑問4:クラウドにデータを置いてセキュリティは大丈夫?
Google側の防御は数字で公開されており、残る課題は「社内の設定」です。そしてその設定は、導入時に3つ決めれば済みます。
クラウドはすでに当たり前の選択肢です。従業員100人以上の企業では、83.5%がクラウドサービスを利用しています(総務省「令和7年通信利用動向調査」)。
Google側では、Gmailが迷惑メール・フィッシング・マルウェアの99.9%以上をブロックしています(Google セーフティ センター)。また、Googleの研究では、2段階認証を設定したアカウントへの乗っ取り攻撃を次の割合で防げています。
| 2段階認証の方法 | 自動化されたボット攻撃 | 大量配信のフィッシング | 標的型攻撃 |
|---|---|---|---|
| スマートフォンへの確認通知 | 100% | 99% | 90% |
| SMSで届く確認コード | 100% | 96% | 76% |
出典:Google Security Blog(2019年5月17日)
導入時に決める3つの設定は次のとおりです。
- 全員の2段階認証を必須にする:管理コンソールで会社全体に強制できます。
- 退職者のアカウントは退職日に停止する:メールやファイルは停止前に後任者へ引き継ぎます。
- スマートフォンを管理対象にする:紛失や退職の際、管理コンソールから端末内の会社データを消去できます。Business Starterから使える機能です(Google 管理者ヘルプ)。
疑問5:パソコンが苦手な社員でも使いこなせる?
スマートフォンでGmailやGoogleカレンダーを使ったことがあれば、画面も操作もほぼ同じです。違いは、メールアドレスが会社のドメイン(例:info@会社名.co.jp)になることと、アカウントを会社が管理することです。
不安な場合は、本契約の前に無料試用で確かめられます(Google 管理者ヘルプ)。試用期間中の設定もIBGがサポートします。
- 期間は14日間、ユーザーは最大10人まで
- 支払い情報を設定していなければ、試用終了時にアカウントが停止されるだけで、課金は始まりません
- 支払い情報を設定済みの場合は、試用終了と同時に有料契約へ自動で切り替わります
導入は次の順番で進めると、社員が新しい画面に慣れてから本番に切り替えられます。
メールアドレスの数、POPとIMAPのどちらで受信しているか、共有ファイルの置き場所
管理者を含む数人で、メールとカレンダーを先に使う
プランと「年間/フレキシブル」を決め、全員のアカウントを作る
過去のメールとファイルを取り込む
反映まで最長72時間
差分インポートのあと、旧メールサーバーを解約する
全体の期間は、人数とメール・ファイルの量で変わります。
まとめ:導入前に確認したい5つのこと
IT担当者がいなくても、次の5つを決めておけばGoogle Workspaceは運用できます。
- 管理者を2人決めたか(疑問1)
- 人数とプランから月額を計算したか。例:10人×Business Standard年間プラン=月16,000円(税抜)(疑問2)
- 今のメールがPOPかIMAPか、サーバーに残っているかを確かめたか(疑問3)
- 全員の2段階認証を必須にする予定を立てたか(疑問4)
- 14日間の無料試用で、社員が実際に触ったか(疑問5)
Google Workspaceの導入はIBGにご相談ください
有限会社IBGは、1998年から福岡で中小企業のWebサイト制作・保守とIT支援を行っています。Google Workspaceの導入では、現状の確認、プラン選び、メール移行、MXレコードの切り替え、管理者向けの初期設定までをお手伝いします。
「社内に詳しい人がいない」会社こそ、お問い合わせからお気軽にご相談ください。


出典
- kubell「システム担当者がいない」中小企業は3割弱(2025年12月)
- IPA「2024年度中小企業等実態調査結果」速報版
- 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」ポイント
- Google Workspace サービスレベル契約(SLA)
- Google Workspace 料金ページ
- 吉積情報「Google Workspace 料金値上げ!」
- Google Workspace 移行サービスの一覧
- IMAP アカウントからメールを移行する
- Google Workspace の MX レコードを設定する
- Gmail のメール セキュリティ(Google セーフティ センター)
- Google Security Blog: How effective is basic account hygiene(2019年5月)
- デバイスから企業データをワイプする
- Google Workspace の無料試用について






